YUME話
「父上、失礼します。」



聞きなれた愛らしい声だった。

でも非常識だ。こんな時間に、

しかも夫婦でいるのに。



「どうした?二の君?」


「こんな、遅い時間にすみません。あの・・・僕・・・」

珍しく歯切れが悪い。

御簾の向こうの声は、消え入りそうだ。


「僕は、明日で大人になります。ですから・・・最後のお別れをさせてください。」


そこで、二の君は大きく息を吸った。












「藤壺様と」
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