Curses return upon the heads of those curse.
起
「酷い雨じゃの。こんな夜は、下の貴船も騒がしゅうていかん」
京の北にそびえる鞍馬山。
その奥の奥にある小さなお堂で、一人の少年がぼやいた。
見かけは少年なのだが、言葉遣いは、やたらと古臭い。
大体このような民家もない山奥に、このような少年がいるほうがおかしいのだ。
「全く、人の女子の執念というものは恐ろしい」
のぅ、と傍らに寝そべる白い虎に語りかける。
虎は同意するように、ぐるる、と喉を鳴らした。
この少年は、僧正坊という。
虎を従えていることからもわかるが、人ではない。
「まこと鬼になったら、使いようもあろうがのぅ。ちっと様子を見てくるか」
軽く言うと、僧正坊は蓑を纏って、虎を振り返った。
「お主は濡れると厄介じゃ。留守番しておれよ」
身を起こしかけていた虎は、不満そうに鼻を鳴らしたが、僧正坊の命には逆らわず、またその場に身を伏せた。
京の北にそびえる鞍馬山。
その奥の奥にある小さなお堂で、一人の少年がぼやいた。
見かけは少年なのだが、言葉遣いは、やたらと古臭い。
大体このような民家もない山奥に、このような少年がいるほうがおかしいのだ。
「全く、人の女子の執念というものは恐ろしい」
のぅ、と傍らに寝そべる白い虎に語りかける。
虎は同意するように、ぐるる、と喉を鳴らした。
この少年は、僧正坊という。
虎を従えていることからもわかるが、人ではない。
「まこと鬼になったら、使いようもあろうがのぅ。ちっと様子を見てくるか」
軽く言うと、僧正坊は蓑を纏って、虎を振り返った。
「お主は濡れると厄介じゃ。留守番しておれよ」
身を起こしかけていた虎は、不満そうに鼻を鳴らしたが、僧正坊の命には逆らわず、またその場に身を伏せた。
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