Curses return upon the heads of those curse.
 虎が僧正坊の襟首を咥えて、地を蹴った。
 ずずーん、と地鳴りを起こして、大木が地面に叩きつけられた。

「……ふい〜っ! おっかねぇ」

 少し離れたところで、僧正坊は、ちかちかする目をこすって身を起こした。
 そして、あ、と倒れた木に走り寄る。

「……あ〜あ、可哀想にな」

 見ると、先の女が大木の下敷きになっていた。

「これじゃ助かるまい。完全に物の怪になってりゃ、何とかなったかもだが。まだまだ身体は人だしな」

 よいしょ、と虎に手伝って貰って、木の下から女を引き摺り出し、僧正坊は山のほうへ捨てた。
 あまりここまで来る参詣客はいないが、このように、いかにも丑の刻参りの格好の若い女の死体を、拓けたところに晒しておくのもまずかろう。
 この女のためにも、静かに朽ち果てていくほうがいい。

「人を呪わば、穴二つってか」

 ちらりと女を潰した大木に目をやり、僧正坊は呟いた。
 その木には、女の血に濡れた藁人形が、頭に何本も釘を打ち込まれて張り付いていた。


*****終わり*****
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