ベランダから見える星
この人には何を言っても通じない。


そう思った私は席を立ち拓海の腕を掴んで外へと向かう。


一ノ宮拓也を睨み付けて。


そんな私の行動に驚いたみたいで拓海はなすがまま。


すんなり外に連れ出せた。


家に直行…ではなく少し話をするため公園に寄った。



「ありがとな。」


ベンチに座って数分間の沈黙を破ったのは拓海だった。



「気付いたと思うけどあれが父親。
 跡を継げって煩いんだ。
 俺は…」


「写真家になりたいんでしょ?」


拓海は黙って頷いた。


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