ベランダから見える星
「ただいま。
 ねぇ実は?」


「まだ学校だろ?」


…そうね,音緒と違って真面目だもんね。


当たり前のことを聞いてしまった自分に呆れる。



「あれ…千香泣いた?」


拓海はすっと立ち上がり千香に近寄る。



「あっ,うん…」


「実と何かあったね?」


「拓海ってエスパー?」


素でそう聞き返す千香に,私たちは笑いを堪えられなかった。


膨れた千香は『着替えてくるっ』と部屋に篭ってしまった。



「で,どうして実って分かったの?」


「昨日,実がこの世の終わりみたいな顔してたから。
 千香は思い詰めた顔してたし。」


『あの2人,何もかもが分かりやす過ぎるよね』と羨まし気に言った。


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