ベランダから見える星
「…あそこ。」


駅から歩いて15分,音緒が指をさした方に大きい緑の屋根の家が見えた。


あれが施設?


想像していたのと全然違って,少し大きい普通の家だった。


近付くにつれ,庭で遊んでいるのか子供たちの声が聞こえてきた。



「音緒!?」


後ろから聞こえた声に振り返ると,年配の女性と私達と同じ歳くらいの女の子がいた。


声の主は女の子だろう。



「よぉ。
 久しぶり,おかあさん,奈緒子。」


「あらまぁ,思ったより早く帰ってきたのね。
 隣の方は?」


「はっはじめまして。
 榎本静です。」


『はじめまして』と笑顔で返されて,私も釣られて笑顔になった。



「私,先に戻ってます。」


奈緒子って子はペコっと頭を下げてこの場を去った。


その時点で察したけど,今弁解するのもなぁと思い,後から奈緒子ちゃんを尋ねようと思った。


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