ベランダから見える星
「まぁ…」


「男の子でしょう!
 はっきり言いなさい。」


こ…恐い。


今までこういう風に言われたことがないからだろうか。



「母親のこと聞きにきた。」


音緒がそう言うまでに結構な時間がかかった。


その間はもちろん静まりかえっていたけど,その空間を居心地が悪いとは感じず,むしろよかった。



「…音緒も成長したのねぇ。
 いいわ,話しましょう。
 あなたのお母さん“未緒"さんのことを。」


私はいないほうがいい。


そう思って席を外そうとしたら音緒に腕を掴まれた。



「外で待ってるね?」


「…静もいてくれないか?」


俯いていて表情は見えなかったけど,私の腕を掴んでいる手が震えていた。


『音緒がいいなら』と言うと,今にも消えてしまいそうな声で『ありがとう』と返って来た。


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