ベランダから見える星
「私には,これぐらいしか話せないわ。」


「…ありがとうございました。」


今だ俯いたままの音緒は,すごく動揺してると思う。


今まで『恐怖』の対象だった人が,実は自分のために…


捨てられたと思っていた…けどそれも自分のためだったなんて。


多分,未緒さんはいっぱいいっぱいで,それでも自分より音緒の幸せを願ったんだ。



「外出てくる。」


立ち上がったと思ったら,顔を見せることなく部屋を出ていった。


一人にしておいてほしいんだろうけど…



「まったく…
 初めて来た女の子を放置するなんて酷いわ。」


呆れ顔の佐々木さんに,私は迷わず同意した。


それにしても,あんな話をした後なのにケロッとしてるってのは,ある意味尊敬する。


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