ベランダから見える星
「ただ今戻りました−」


未緒さんがドアの取っ手に手をかけた瞬間,音緒が戻ってきた。


せっかく落ち着いたところ申し訳ない…と何故か私が心の中で詫びる。



「えっと…こんにちは。」


誰だか気付いてない音緒は戸惑いながらも挨拶をするが,未緒さんは放心状態。


そんな未緒さんを不思議そうに見つめる音緒に『そっくりな顔してて何で気付かないの!?』と掴みかかりたくなったが懸命に抑えた。



「音…緒……?」


未緒さんがやっと喋った言葉は息子の名前。


それを聞いた音緒の表情が一変した。



「静,どういうこと…?」


「めちゃくちゃ偶然。
 私もびっくりよ。」


これまでに見たことがないくらい動揺している音緒。


出来るなら,このまま…このまま2人には話し合ってほしい。


だって未緒さんはちゃんと音緒が大好きなんだもん。


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