ベランダから見える星
「音緒ぉ…
 お母さんのこと許してくれる…?」


「許す,許さないはお互い様だから…」


たった数十分で母子に見えるのはそれだけ互いに想ってたってことだと思う。


そういうのを私は純粋に羨ましいと思った。



「お母さん今この近くに住んでるの。
 …寂しいけど一緒に暮らそうなんて言わないから。」


「うん。」


「今の生活楽しいでしょ?
 でも,一緒に暮らそうって言わない変わりに…週に一回でもいいから顔見せて。」


未緒さんはニカッと笑っているのを見て,強がっているのがわかった。


一緒にいたいと思う。


離れていた分,少しでも一緒にいたいと思う。


でも,未緒さんは多分,“親の都合”で振り回したくないんだ。


振り回されたことがあるから何となく分かる。


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