ベランダから見える星
「うん。
 たくさん顔見せに行く。
 でも…学校卒業したら一緒に住んでもいい?」


音緒が自分で決めた“こと”に未緒さんと…私は驚いた。


未緒さんは涙目で何度も何度も頷いていた。


私は…音緒が卒業したらあの家から出ていくことを受け入れられなかった。


今,当たり前に一緒にいる5人が離れる。


『5人で一緒に暮らす』そう決めたときに,いずれ離れることは分かっていたけど。


音緒の口から聞いた言葉に,私は現実に引き戻された気がした。


そう,もうカウントダウンは始まっていたんだ。


始まった日にはもう。


そして,私は直に人のことを心配していられるような状態じゃなくなることに。


私は気付くのが遅かった。


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