ベランダから見える星
どうしても京介と向き合うのが嫌で,お茶を容れてみたりしたが手慣れているせいですぐに終わった。


拓海に促されてソファーに座るが,明らかに迷惑というように体ごとそっぽを向いた。


先日の私みたいに『いないほうが…』と思ったのか席を外そうとする拓海の裾を掴んだ。


『ここにいて』と呟くと拓海は頭を軽く一回叩いて座り直してくれた。



「姉さん,今日はお母さんのことで話しがあってきました。」


「何」


「昔,姉さんがやられていたこと,今俺がやられてるんです。」


…だから何。


『何とかしろ』って言いたいの?


それとも『俺の変わりにその仕打ち受けて下さい』とでも言いたいの?



「酷いと思いませんか!?」


「…ふざけないで。
 何が酷いって?誰が酷いって?
 あんたが言えた台詞じゃないよ,それ。」


怒鳴るわけでもなく,刺のある言い方をするわけでもなく,ただ無意識に冷たく言い放った。


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