ベランダから見える星
そしてやっと…赤ちゃんの元気な泣き声が分娩室から聞こえてきた。


中から看護士さんが出てきて,『可愛らしい女の子ですよ』と教えてくれた。


お父さんだけ中に入ってもらい,私は…妹との対面をほんの少しだけ先に延ばした。


翠さんと赤ちゃんが入る部屋に先に案内してもらい,そこで2人…いや3人を待ちながら,ふと思った。


何でお父さんは私を引き取ったのだろう。


あの人がいらないと押し付けたのだろうと思っていた。


けど…



「静ちゃん!」


「っ…翠さん!」


何時間もの難産後とは思えないくらい元気な翠さんに何だか拍子抜け。


それなりに心配したんだけど。



「今日はしぃちゃん新生児室だって。」


「あっそうなんだ。
 じゃあ後で行ってくる。
 えっと…しいちゃんのとこ。」


しいって“椎”でいいのかな?


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