ベランダから見える星
「静奈に会ってくる。」


さっきまであった,会うことへの躊躇いが嘘のようになくなった。


新生児室に向かっている途中,お父さんとすれ違ったけど,今までとは違い,一言だけ会話を交えた。


大きな一歩だと思う。


音緒たちを見ていて,私も向き合いたいと思いはじめた。


まずは…お父さんと。


あの家から連れ出してくれたこと,理由は分からないけど感謝してる。


みんなに逢えて私は変わったから。


『自分が好きか』と聞かれたら『まぁね』と答えられるようないい方向に。



「いた…」


“静奈”はすぐに分かった。


赤ちゃんって皆同じように見えて違うことを知った。


女の子だからかピンクのプレートに誕生日と名前,そして体重がかかれていた。



「頑張れ静奈。」 


生まれてきてよかったと思えるように。


私は長い時間静奈を見て,病室に戻ることなく家に帰った。


看護士さんに伝言しておいたし,いつか見るだろうメールを送っておけば大丈夫だろう。


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