ベランダから見える星
何時間ぶりかに携帯を開くと,着信が何件か入っていた。


それの全部が拓海からだった。


…何かあったのかな?


とりあえずタクシーに乗り,電話をかけ直す。



「帰ってこれるか!?」


開口一番に切羽詰まったような声でそう言った。


『うん』と返事をすると『頼むから急いでく…』と言葉の途中で電話が切れた。


言いたいことは分かったので,かけ直さなかった。



「ただいまぁ」


一応急いで帰ってみると,玄関には知らない靴。


誰か来てるのかな?



「拓海−っ
 ってさっきの…?」


リビングに入るとソファーの端っこにムスッとした顔で座っている拓海と,何故かエレベーター前でぶつかった綺麗な男の人がいた。



「おかえり。
 こいつどうにかして。」


いや,話が見えないから。



「はじめまして,静ちゃん。
 拓海の兄です。」


………へっ?


あの拓海がいってたお兄さん…?


迎えにくるとかいってた。


何か拓海がいつもと違って,すごく子供っぽい。


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