ベランダから見える星
「拓海っ私何もしてないよ!?」


「したした。
 今日だって俺,さっきの静の言葉がなかったら兄貴なんか力ずくで追い返してたから。」


「あれはただのお節介で…」


「それに俺達救われてんの。
 OK?」


発音よく放たれた言葉は,有無を言わさない何かがあって,私は怖ず怖ずと頷いた。


でも申し訳ない。


せっかくお兄さんが迎えに来てくれて,せっかく一緒に暮らせるのに。


私のせいで…



「お前のせいじゃない。」


心を読まれたのか,無意識に口にしていたのか分からないが,声のトーンが落ちたので怒っていることは分かった。



「ここに残るのは同情してるからじゃないんだ。
 まだごちゃごちゃ言うなら絞めるぞ。」


…音緒より怖いかも。


私は『ごめんなさい』とお兄さんと拓海に頭を下げる。


すると『馬鹿』と頭を軽く叩かれた。



「そこは『ありがとう』だろ?」


「そうだね。
 俺もそっちのほうが嬉しいな。」


2人からそう言われて泣きそうになった。



「ありがとうございます…」


涙を堪えて,口にすると,次は優しく頭を撫でられた。


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