ベランダから見える星
「どうした。
 翠はしばらく病院だぞ。」


「知ってる。
 今日は……」


いざ聞こうと思ったら頭が真っ白になった。


聞いてどうするんだろう。


私はどんな答えを期待してきたんだろう。


もしその答えじゃなかったら私はどうなるんだろう。


真っ白になった頭に浮かんでくるのは,そんなマイナス思考ばっかり。



「とりあえず中に入りなさい。」


お父さんが先にリビングに入っていったので,私は追い掛けるように後に続いた。


リビングに入ってからも会話はゼロに近い。


この状況,どうにかしてほしい。



「ニャー」


「…!?
 ルナごめんっ」


さっき念のためと思い,鞄に入れたのをすっかり忘れてた。


かなり大きい鞄だが,やっぱり外を走り回りたいのだ。


私が慌てて鞄から出してあげると,どこか行くと思っていたルナは私の膝の上に座った。



「可愛い猫だな。
 名前は?」


「へっ…あ,ルナ。」


突然話かけられて驚いた。



「静は猫が昔から好きだったな。」


でももっと驚いたのは,お父さんが何気なく言ったであろう言葉だった。


< 282 / 401 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop