ベランダから見える星
そのとき…



「静…?」


なんてタイミングなんだろう。


誰かに見られた。


それもよりによって……お父さんに。


そのまま固まってしまった私に,葵は『知り合い?』と聞くが,相手の顔を見ろ。


どう見ても血縁者でしょうが。


なんて思うけど言葉にならない。



「そいつは誰だ?」


低くなった声に反応を示したのは…葵。


明らかに怒っているだろう声色,そしてやっと悟ったらしい相手の素性に葵の顔から血の気が退いた。



「いっ伊崎葵と申しますっ
 せー…いさんとは仲良くさせていただいてます。」


誤解を招くような言い方はやめてほしい。


困るのはどう考えても私だ。



「まぁいい。
 行くぞ静。」


「っはい。」


やっと正気に戻った私は葵から離れて,お父さんの後を追いかけた。


それからが本当に大変だった。


車内での会話はないに等しいうえに,不機嫌オーラが漂ってて。


病院についたら翠さんから『静一郎さんが変』と言われ,全部話させられたし。


そしたら翠さん凄く面白がっちゃって,……遊ばれた。


なんだかやり切れなくて,このさい全部葵のせいにすることにして,自分を落ち着かせることにした。


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