ベランダから見える星
「大事にして大事にして大事にして!!
 私,翠さんのこと信じるからっ
 今までの分,翠さんが大事にして!」


子供みたいに泣き叫んだ。


久しぶりに安心して泣けた気がする。


もう遠慮なんてしないからしないで?



「これからは言い訳なんて持ってこない。
 帰りたいと思ったときは『ただいま』って帰ってくるから。」


「そうよ。
 毎日帰って来なさいよ?
 言い訳はなしで。」


うん。


ありがとう翠さん。



「…ねぇ静ちゃん。」


「ん?」


「そろそろお家に帰ってこない?」


「帰ってきてるじゃん。」


何を言ってるんだろうと首を傾げると,翠さんは体を離して正面から向き合って言った。



「一緒に暮らそう。」


と。


返事が出来なかった。


すごく嬉しかったけど…


もうみんな家に帰れるんだけど…


私,まだ片付いてない。


残ってくれた音緒と拓海に胸を張って『私も帰る』といえるようになってない。


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