ベランダから見える星
だから…



「ありがとう。
 でももう少し待って?」


「そっそうよね。
 他の子もいきなり困るわよね。」


「ううん。
 みんなはもう大丈夫なの。
 あとは私だけ…あの人とのことが残ってるから。」


そこまで言うと翠さんは悟ってくれたのか『頑張れ』とおもいっきり私の背中を叩いた。



「ありがと。
 ……お…母さん?」


「…えっ!?
 今の聞こえなかったっ
 もう一回言って!!」


明らかに聞こえていたのは分かってたけど,もう一回『お母さん』と呼んだ。


するとボロボロ涙を零しはじめてしまう…お母さんに私は苦笑い。


なんだか子供みたいな泣き方だなぁ。



「ただいま。」


運がいいのか悪いのか,帰って来ちゃったお父さん。


何の迷いもなく足音がこっちに向かっているのは,もちろん静奈目当て。


ここで泣いてるみど…お母さんを見てどんな顔をするんだろう?



「静奈〜…翠!?」


思わず吹き出しそうになった。


だって緩んだ顔で現れたと思ったら,お母さん見るなりギョッとして青ざめるんだもん。


珍しい表情が一気に2つも拝めた。


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