ベランダから見える星
「せーちゃんさ…まだ俺のこと嫌い?」


何を突然。


嫌いだったら一緒に帰ったりしないから。


そう言おうとしたとき,ふと違和感を感じた。


少し前から感じていた違和感。



「せーちゃん?」


「あっ…別に嫌いじゃないよ。 …好きでもないけど。」


「まじで!?
 かなり進歩したしっ」


あ−…


分かった,違和感の正体。


方言だ。


少し前から2人のときだけ関西鈍りが抜けてる。


どうして…?



「俺,本当にせーちゃんが好きだから。
 いつまでも待ってるから。」


「葵!!」


私は葵の腕を掴んだ。


何だかどこか行っちゃいそうな気がして。


私の目の前から消えちゃう気がして。


いつもそう。


大切なものは,私の前から消えてしまう。


あの人も弟も…大切な家族だった。


次は葵も消えちゃうの…?


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