ベランダから見える星
お父さんにかけたのかと思って見守っていた。


のに…『あっ中村さん?』と全然違う人に雑誌を買うよう言っていた。


ジトーっと睨むけど拓海は気にせず,連絡を待ってるようだった。


少しして携帯が鳴ったかと思うと拓海はすぐに取った。



「親父?」


お…お父さん!?


中村さんは!?



「見てくれましたか?
 ……はい,そうです。
 …ええ。
 嫌です,俺は写真を撮っていきたいって何回も言ってるはずです。。
 あなたの言いなりにはなりません。」


何話してるんだろう。


拓海の表情は変わらず,はじめからまっすぐ一点を凛と見ている。


拓海が一番気に入っている邦光さんの写真。



「……え?」


突然,声のトーンと表情が一変した。


拓海…?


まったく理解出来ない状況にオロオロする私を,まだリビングにいたらしい実は『お茶』とパシリにする。


文句も言わずにお茶を注ぎにいく自分に拍手だ。


< 304 / 401 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop