ベランダから見える星
「お袋も喜んでたよ。」


そっかお母さんも喜んでたんだぁ……って,はぁ!?


今ここでお母さん出現!?


お母さんと拓真さん連絡取れてたの!?



「ちょっ兄貴なんで母さん!?」


「何でって電話来たから。」


疑問をもったのは拓海も同じだったようで,抗議すると簡単に返事は帰ってきた。


さも,当たり前だろ,とでも言うような口調で。



「母さんが今どこに住んでるとか分かったり…」


「するよ。」


『当然』ときっぱり答える拓真さんに蹴りを一発入れたくなった。


拓海は全然連絡なくて,それで色々苦しい思いしたのに…



「昨日の真夜中に急に電話来てさ。
 はじめ誰だか分かんなかったっての。
 だって10年ぶりだったし。
 思わず『今更よく電話してこれたな』って言ったしな。」


……まぎらわしい。


それを先に言え,先に。


誤解を生むから先に言え。



「俺はよく雑誌に載るからな。
 それ見て電話かけてきたらしい。
 今度会おうってさ。」


ふいっと顔を反らした拓海は少ししてから『おう』と返事をした。


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