ベランダから見える星
「静!」


突然後ろから聞こえた声に振り返ると…



「山中さん?」


不機嫌そうな千香がいた。


その鋭い目はいつも通り葵に向けられている。


恐る恐る『千香…?』と名前を呼ぶとずんずんと近付いてきた。



「帰るよ。」


「はっ!?」


「葵だっけ?
 静を送ってくれてありがと。
 ここまででいいから。」


千香は吐き捨てるように言うと私の手を引いて歩き出した。


後ろを振り返り『ごめん』と手を合わせて謝ると,葵は苦笑いで手を振ってくれた。


千香は本当に葵が嫌いだな…


少し前まで人の事言えなかったけど。



「千香痛い。」


「あ…ごめん。」


「…そんなに葵が嫌い?」


黙り込む千香に少し苛立つ。


言いたいことがあるなら言えばいいじゃん。


そんな風に思っていた私は…後から考えると,本当に自己中だった。


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