ベランダから見える星
「だから怖くて聞けなかった。
 ずっとこのままだったらいいのに…」


「私は前に進みたいよ。
 卒業するまでにやらなきゃいけないことたくさんあるから。」


今は何より進路を決めることが先だけど。



「葵は何で美容師?」


「いやヘアメイクの勉強がしたいんだ。
 …遊の夢だったから。」


え…


じゃあ自分の夢じゃないの?


“葵”は?



「あっ言い方悪いね。
 はじめは遊の夢だったけど勉強していくうちに楽しくなって,いつの間にか自分の夢になってた。」


葵はちゃんと“自分”見つけてたんだね。


多分…自分がないのは私の方だ。


今更だけど,私はお父さんやお母さん,あの人の背中を追いすぎてた。


ちゃんと自分のやりたいこと,見ようとしてなかった。



「推薦で受けるんでしょ?
 頑張ってね。
 出来ることあったら協力するから。」


「ありがと。
 せーちゃんは進路考えてよ?」


もう大丈夫。


葵に言われなくても考えるよっ


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