ベランダから見える星
「ねぇお母さん…」


『留学したい』って急に言ったらお母さんはなんていうだろう。



「ん−?」


「進路のことなんだけど…」


「決まったの?」


これは決まったといえないよねぇ…


キャッキャと笑う静奈のほっぺたを撫でて黙り込む。


すると料理の手を止めたお母さんは,私の向かいに座った。



「静ちゃんが決めたことちゃんと教えて?」


「……私留学したい。」


言えた。


けどお母さんの反応を見るのが怖くて,私は俯いた。



「どこに行くかは決めたの?」


「まだ…
 けどっ」


声のトーンが若干低いことを気にしつつ,私は考えてることを話す。



「自然の豊かなとこ…
 星が綺麗に見えるとこに行きたいと思ってる。」


「じゃあいいところ紹介してあげる。」


……へ?


いいところ?紹介?


えっと,つまり“いい”ってこと…?



「いいの…?」


バッと顔を上げるとお母さんは優しく微笑んでいた


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