ベランダから見える星
「静奈寝ちゃったみたいだし,お父さんも帰ってきたから帰るね?」


「え!?
 帰っちゃうの?」


今度はお母さんが肩を落とす。


『またくるから』と後が面倒くさそうだったからさっさと家を出た。



だんだん暖かくなってきてるけど,まだ日が落ちるのは早い。


お父さん怒るだろうな…と思いながら帰り道をとぼとぼ歩く。


いつもはお父さんが送ってくれるから分からなかったけど,意外とマンションまで距離があることに気付いた。


タクシー…いや,歩こう。


迷子にはならない…はず。



「静!」


へ?


突然名前を呼ばれ,辺りをキョロキョロ見回すと音緒の姿が。


何でこんなとこにいるの?



「おまえ女だろ!?
 こんな時間に一人で歩いてんじゃねぇよ…」


どうやら走ってきたらしく,息が乱れてる。


話を聞くと,この近くの美容室のバイトの説明に行ってて,私がいるだろうと思い家に行ったけど,今帰ったと言われ,走って追い掛けてきたらしい。


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