ベランダから見える星
『弟ですよ』とその質問に答えたのは京介だった。


言い方が気に障ったのか葵はギャーギャー騒ぐ。



「ちょっ葵うるさい!」


「姉さん,この人は誰ですか?」


「そいつは静のただのクラスメイト。」


次に質問に答えたのは音緒。


明らかに悪意たっぷりな口調にまた騒ぐ葵。


この3人が揃うのって最悪…


千香は笑ってるし。



「で,京介は帰ってくれない?」


「何でですか!?
 話を聞いてくださいっ」


話を聞いたら私に何かメリットがある?


知らないから,あんたのことなんて。



「聞く義理はない。
 だいたい何を今更私に話すことがあるの?」


あの家にいるとき,一度でも声をかけてくれてたなら。


話を聞いていただろう。



「でも母さんが…っ」


「聞きたくないって言ってんのわかんない!?」


張り上げた声に千香が動く。


パンッ


と乾いた音がした。


千香が…京介を叩いた。


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