ベランダから見える星
「せーちゃんは全く気付いてなかったみたいだけどね?」


ニヤッと笑う葵は音緒,千香,私を含めた3人に冷たい視線を送られ,肩を縮める。


一方の京介は屈辱そうな表情で葵を見ていた。


まぁ葵に馬鹿にされたら確かにむかつくよね。


それは理解できるな,と当事者の私が1番冷静というか…


他人事のように物事を見てる気がする。


だから罰が当たったのだろうか。


ガチャン


玄関ドアの開く音がした。


何故か騒がしいリビングに微かに聞こえた私を呼ぶ声。


それが誰の声なのかすぐに分かった。


音緒たちは拓海か誰かだと思って放置だし。


そう,拓海や実,拓真さんでもない。


…一回もこの家に来たことのないお母さん。



「静ちゃ−ん!」


リビングの前に来たのだろう。


声がやっと皆の耳に届く。


それに青ざめたのは音緒と千香。


千香も数カ月前に皆で私の実家に帰った時に会ってるから。



「いた!
 もういるなら返事してよね〜?」


一気にシラけた空間にお母さんは『お取り込み中?』と苦笑い。


お取り込み中ってのもあるけど今お母さんに来られるのは大変困る。


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