ベランダから見える星
じっと2人を観察するお母さんにあたふたと慌てる私たち。


葵は何となく誰なのか分かったらしく,『こんにちは』と愛想よく挨拶していた。


けど京介には誰か分からない上にまだ子供だ。



「この人は誰ですか。」


とお母さんを指差して問い掛けてくる。


お母さんまだ…多分若いし,頑張ればばれずにすむと考えた私は何とか取り繕おうとする。



「あなた失礼な人ね〜
 名前は人に聞く前に自分が名乗りなさい?
 指を差すのも駄目なのよ?」


お母さんも京介が誰だか気付く気配はない。


けど…



「姉さんっ」


京介は私のことをそう呼ぶんだった。


お母さんを見ると,目を丸くして驚いていて。


当たり前だよね…


まさかの対面だもん。


気を利かせたのか音緒と千香が葵を連れてリビングを出ようとしていた。



「気を遣わせてごめんね。
 でもはじめましてな男の子は残ってもらえない?」


お母さんが葵に残ってほしいって…


葵は驚きを隠せない様子でその場に残り,音緒と千香はリビングを出た。


< 344 / 401 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop