ベランダから見える星
「はじめまして。
 私は西園寺翠です。」


「はっはじめまして!
 伊崎葵と申しますっ」


こんな状況の中,自己紹介をさらっと出来るお母さんって一体…


くるっと私に体を向けると,『葵くんは静ちゃんの横のソファーに座って。』と指示し,お母さんは葵とは反対の横に座った。



「えぇっと…
 君の名前は城之内京介くんだったよね?」


「何で知ってるんですか!?」


ボソッと『こんな人が』と悪意たっぷりに付け加えたことに,私はテーブルをおもいっきり叩いた。

ふざけるな。


何も知らないくせに。



「京介謝って…」


「何でですかっ」


「お母さんに謝って!!」


涙が溢れてくる。


お母さんには嫌な思いしてほしくなかった。


何気なしに吐いた言葉でも,お母さんは京介のことを知ってるのだから。



「静ちゃんありがと。
 大丈夫だから泣かないの。」


「ちょっお母さんってどういうことですか!?」


ガタンと音を起てて立ち上がる京介にお母さんは『そのままの意味』と返した。


< 345 / 401 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop