ベランダから見える星
お母さんを振り返ると何か言いたそうにしていた。


けど気付かないふりをして,私たちはあの家の中へと足を踏み入れた。



「リビングにいっておいて。」


少しも変わってない家の中,そしてあの人の態度。


変わったことはこの家の中に頼れる人がいるってこと。



「京介,お父さんが帰ってきたわよ。」


少しして来たあの人は京介を連れてきた。


京介は一瞬お父さんを見て顔が強張ったが,すぐに笑顔で『おかえりなさい』と言った。


そういうとこそっくり…



京介はあの人を見て育ちすぎてる。


あのままじゃ先がもう見えてるよ。



「で,私は貴方に帰ってきてもらいたいわけじゃないのよ,静一郎。」


ほらもういつもの顔。


冷たく,見下してるような…



「帰ってくる気はないから安心しろ。」


「そう。
 じゃあこの子を送ってくれたの?」


この人はなんでそうなんだろう。


自分がそう思ったらその答えしかないとでも思ってるような…


日々自信に満ち溢れてる感じ。


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