ベランダから見える星
お父さんと顔を見合わせるも何の解決にもならない。


簡単に帰るわけないとは思ってたけど…


まさか入ってくるなんて。



「貴女それでも母親なの?
 自分の子供の名前,一回も呼ばないで。」


そういえば呼ばれてない。


それが当たり前だったせいで気付かなかった。



「貴女はさっきの…?」


「えぇ,はじめまして。
 私はせ「“翠さん”喋らないで。」


お母さんが正体を明かそうとするのを私は必死で止める。


そのとき…一瞬お母さんは酷く傷付いたような顔をした気がした。



「何で来たんだっ」


「…っ心配だからに決まってるでしょ!」


こんな状況でもお母さんに勝てないお父さん。


…駄目じゃん。



「あなた一体誰?
 全くの部外者ってわけじゃないようね。
 静一郎の恋人…もしくは妻ってとこかしら。」


この人の勘がいいとこも嫌。


シレッとしておけばいいものをお父さんが律義に反応する。


京介は知らぬ顔をして部屋の隅に移動した。


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