ベランダから見える星
旅立ちの日は
夏休みからあっという間に過ぎていった月日に圧倒されながらも,私たちは今日も必死に生きていた。



「卒業生入場。」


桜咲く春。


私たちは満開の桜に見送られ,今日,この学校を卒業する。


実をいうと…この学校自体に思い入れとか全然ない。


けど,2年と少し過ごした私のここでの生活はかけがえのないもので。


私は静かに涙を零した。



「卒業生退場。」


小学校や中学校と違ってすぐに終わってしまう卒業式はあっけなく感じた。


でも,ホールを出てすぐ,葵が友達とじゃれあうのを見て…


少し卒業を実感した。



「静−っ」


離れた場所から走ってくるのは泣いている千香。


朝,張り切ってメイクしてたけど…


すでに涙でボロボロ。


パンダ目になってる千香を見て思わず笑ってしまったくらい酷かった。



「もらい泣きしちゃったぁ。」


「それはいいけど…顔酷いことなってるよ?」


するとピタッと泣き止み,すごいスピードで校舎に入っていった。


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