ベランダから見える星
「でも会おうと思ったらいつでも会えるからいいんじゃね?」


実が料理を頬張りながら漏らした言葉は…これから先,ずっと忘れられない言葉となる。


この時は何だか恥ずかしくて『格好つけるな』とかみんな言ってたけどさ。



「明後日の見送りってどこ行けばいいの?」


「ん−,多分国際線のどこかにいる。」


忘れちゃった,と千香たちにはごまかしたけど…本当はちゃんと分かってる。


来ないなら来ないでいいなと思って。


だって寂しくなっちゃうもん。


もう二度と会えないわけじゃない。


だから…



「拓海はいつ?」


「俺は静が行った一週間後くらいかな。
 兄貴の仕事が片付いたらすぐ。」


拓海もちゃんと大学に受かったからこの街を出る。


拓真さんとお母さんと住むんだって。



「音緒は未緒さんまだ?」


「いやもう来てるよ。
 そういえば見送りにも来るって行ってた。」


音緒は約束通り未緒さんと暮らす。


進路の話をしたときに未緒さんが,こっちに引越してくることになったらしい。


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