ベランダから見える星
「実はいいよな−。
 好きな奴と一緒にいれて。」


珍しく恋愛に関してぼやいたのは音緒。


実と千香はこれからも一緒に暮らす。


といっても実が千香の家に居候する形だけど。


千香のお父さんたちが実のことをすごく気に入って,あっという間に同居が決まったらしい。


もしかして音緒は千香のこと…?


なんてことが勘違いだと気付くのはもうすぐそこ。



「そういえば翠さんの出産予定日には帰ってくるの?」


「帰ってこようとは思ってるけど…
 みんなに連絡はしないから。」


1年後に帰ってくるまでは。


みんなに会ったら甘えちゃう。


一人でどこまで出来るのか試したいから。



「分かってるっ
 ちゃんとした帰国連絡待ってるから!」


千香の言葉に笑顔で頷いてくれるみんな。


ありがとう。


すごく幸せです。



「私に1番に連絡するんだからね!」


自慢げに言う千香にみんなが呆れ顔。



「それではみんな…
 よい旅を。」


夜も更け,明るい空に星が見えだした頃。


私たちはこの家で最後の睡眠をとった。


< 376 / 401 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop