ベランダから見える星
けど…


夜が遅くなるにつれて自然とみんなの口数が減っていった。


話すことはやっぱり思い出話。


この短い間にたくさん思い出ができたから。



「出産頑張ってね。」


「うん!
 元気な男の子産んじゃうからっ」


お腹の中の子はお父さんの希望通り男の子だった。


名前は今考え中。


翡翠(ヒスイ)と静夜(シズヤ)と静希(セイキ)で迷ってるの。



「本当に1年で帰ってこいよ?」


「多分ね。
 約束は出来ない。
 納得できたら帰ってくるね?」


寂しそうに言うお父さんに,嘘はつけなかった。


正直…1年で帰ってくる気はない。


足りないと思うから。


力を蓄えるには…



「ほら明日早いんでしょ?
 もう寝ようっ」


気付けばとっくに日付は変わっていた。


この日は和室に布団を敷いて3人で川の字になって寝た。


結局布団に入っても話していた私たちは,いつの間にか眠ってしまっていた。


そのとき夢を見た。


私は子供と手を繋いでいて,愛する人は後ろでビデオカメラを廻していた。


愛する人の顔は分からなかったけど…みんな笑顔で幸せそうだった。
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