ベランダから見える星
けど…この地上の星はカナダにはない。


いろんな色に輝く,この星たちは…。


【拓海が8時くらいに着くって★】


あと少ししかない。


先伸ばしにしていたことに向き合う時がきた。


怖くて出来なかったメール。


【帰ってきました。
 学校の前で待ってます。】


文を打つのは早かったけど…


送信に時間がかかった。


意を決して送信したのがメールを作成して30分後。


それから5分待ったけど送信エラーのメールはこなかった。


まだ…待っててくれてるのかもしれない。


私は急いでマンションを出て,学校へと走った。


ヒールだとかスカートだとかそんなこと少しも考えず,無我夢中に。


学校の校舎が見えてくると,足はだんだん止まっていく。


メールは送れたのに何が不安なの。


来ない可能性があるけど…それに掛けたんでしょ。


必死に自分の足を動かす。


すると見えた金髪頭の男。


もしかして…


いや,あれは絶対にそうだ。


私の足は一気に軽くなる。


何も考えずにただ…大切な人に向かって走った。


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