八年目のシュート


卒業と同時に告白されて、そのままつき合うことになった私と一樹は、結婚を来月に控えていた。

同じバスケット部だっただけじゃなく、一樹とは中学から一緒だったから、つき合うことになってもそれほど抵抗がなかった。



あれから八年が経った。
本当にサイテーだったのは私の方。

告白してから卒業までの半年間、私は変わらず萩原を見続けていた。

話すことも、視線を合わせることもなかったけれど、私はずっと萩原が好きだった。



サイテーな理由はその後。

一樹とつき合うことになっても、私は多分心のどこかで萩原を想っていた。

意識とは関係なく夢にまで出てくる。

それは今でも同じ。



一樹の事だって好きだし、つき合ったことにも後悔なんてしていなかった。

それでも、私はどこかにひっかかったままの想いをずっと引きずってきていたのだ。



あの時、
もしもシュートが入っていたら……。



忘れようとしても、よみがえってくるあの時の風景。

一樹の事を想いながらも、思い出してしまう萩原の姿。



憧れが強すぎるって、ちょっと困りものだ。

卒業してから一度も会ったことはなかったけれど、不思議と昔のようにドキドキする。



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