八年目のシュート



萩原……。



私の淡い期待はやぶられた。

萩原は昔と全然変わらない。

惹かれ続けたあの時のまま、今もずっと素敵だった。




「バスケ部の顧問もしてるんだろ。適職だな」


「おう!毎日忙しいけど、すっごい楽しいよ」



やっぱり、まっすぐ見ることもできない。

指の先端でくるくる回るボールは、周りの空気を八年前へとどんどんタイムスリップさせていった。



盛り上がるメンバー。

重なる陰から萩原と目が合う。

一瞬にしてあの時の光景が広がった。



「そこからシュートできたら、つきあってもいいよ」



あの時の萩原の顔、陽射しが眩しくて見えなかった。

どういうつもりで言ったの?




< 13 / 21 >

この作品をシェア

pagetop