八年目のシュート
「萩原先生、そろそろ締めていいですか」
日直の先生だろうか。
鍵をたくさんぶら下げて、ステージ横の通路からこちらへ歩いて来た。
「すみません。もう出ます」
「どうする?どこか飲みに行く?」
「そりゃあこのまま帰るなんてできないでしょう。今日は朝まで騒ぎ倒しだー!」
「すみません、僕締めて出ます」
騒ぐメンバーを横に、萩原は鍵を受け取った。
体育館の玄関から、一足づつ靴が外へと抜け出して行った。
気がついたら私は、窓の鍵を一つずつ確認しながら歩く萩原をじっと見つめていた。
みんなの声が、どんどん遠ざかって行く。