八年目のシュート
「どうした?一樹はもう先に行っただろ」
萩原はわかっているはず。
私の中に、今でも萩原の存在があることを。
「賭けって、私の事?」
どうして素直に聞けたのか。
多分スッキリさせたかったんだと思う。
引きずってきた想いを、萩原の気持ちを知ることで全部終わりにしたかったんだ。
「入ると思ってたんだけどな。見事に外してくれちゃってさ」
あの時のように、床を打つボールの音が響く。
「どうしてあんなこと言ったの?入ったらつきあうだなんて」
「さぁね。絶対入ると思ってたからかな」
もどかしい会話。
私の気持ちが、先走る。