八年目のシュート
「私ずっと見てたの。萩原が夜に練習してる所。ずっとずっと憧れて、話すことさえできなくて……」
「知ってたよ。いつになったら一緒に練習に入って来るのかなって思ってたけど、結局入って来なかったな」
「だって……そんな勇気ないよ。萩原は特別だったもん」
「もういいじゃん。昔の話なんだし」
萩原は体育館の電気を消した。
「来るんじゃなかったな。まぁ、集合場所が職場だからどうしようもないけど」
消し去るはずだった想いが、どんどん込み上げる。
どうしよう、萩原。
「会ったらやっぱり気持ちがよみがえっちゃうだろ。わかってたけど、見てみたかったんだ。今のお前を」
我慢するほど止められない涙。
だめだよ。
私は一樹と結婚するんだもん。