八年目のシュート
ボールの音が止まり、私の腕にはあの時の感触。
「もう一回賭けてもいいよ。お前さえよければ」
手の中のボールは、ほんのり暖かかった。
「入ったら、お前はオレの所に来る。入らなかったら一樹の所へ行く」
また、萩原の顔は見えなかった。
暗闇で、私は自分の鼓動だけを感じる。
「入るわけないよ。ボール持つの、久し振りだもん」
「それでいいんだよ。オレもあきらめつくし」
萩原は私の手を引っ張り、ゴールの近くに立たせた。