八年目のシュート
「ハンデとして電気は消したままにしておく」
「そのハンデ逆じゃない?」
「だからそれでいいんだって。お前はなるべく、一樹の所へ行った方がいい」
萩原の言葉が、ズキッと心に響いた。
私はどっちを望んでいるんだろう。
無理に決まってるからやりたくない?
もしも入ったら……。
八年経っても変わらない。
私の腕は、今もまだ震えていた。
「一緒に投げる?」
萩原の腕が、後ろから私の腕に重なった。
体中に響く、二人の鼓動。
ごめんね一樹。
私やっぱりサイテーだ。
私は暗闇のゴールを真剣に狙った。
腕を伸ばして、指先までしっかり力を入れる。
ボールは私の手を離れ、月明かりに吸い込まれていった。
「尚、ずっと好きだったよ」
遠くからみんなの声が聞こえた。
秋の星空は、八年経ってもずっと変わらないいまま、私達を優しく見つめていた。