八年目のシュート


夏の引退試合、うちの高校は見事に勝利をおさめた。

そして私のシュートは、誰よりも優れたものになっていた。



そう、もう外すことなんて考えられなかった。




文化祭が終わった後の静かな体育館。

一人練習する萩原に、私はゆっくり近付いた。



「ずっと好きだったの。
よかったら、私とつきあって」



高い天井に響き渡る声。



どれくらいの勇気が必要だっただろう。

足だけじゃなく、声まで震えて……

萩原が振り返るまでの時間が、とても長く感じられた。

目の周りが熱くなって、鼓動が体まで大きく揺らす。



そして高く投げられたボールは、私の腕にズシッと響いた。



「そこからシュートできたら、つきあってもいいよ」




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