俺、兄貴になりました
「翔輝にぃ!翔輝にぃ!大変大変!」
後ろから慌てたようにかけてきた翠。
「どうした?」
「ダブル双子のにぃ達が捕まってんだよ!」
「は!?」
翠に案内されて来た道を引き返すと、そこには人の集団があった。
まさか、あの中に?
「ファンの人に捕まっちゃってんだよ。あの人達変装したがらないから」
忘れてた……。
あいつら超有名人だった……。
「お前ら、ちょっとここで待ってろよ?」
「「ラジャー!!」」
弟五人を残し、俺は集団の中に入って行った。
まずは、サッカー少年の双子だな。
人を掻き分けて進んでいくと、双子が見えた。
サインを求められ、オロオロとしている双子。
まだこういうファンの巻き方には慣れていないらしい。
「雷、煌!」
「「あ、翔輝にぃ!」」
俺の姿を見つけた双子は、ホッとしたような顔をした。
「悪いんだけど、今プライベートなんでこれくらいで勘弁してくれるかな」
そう言ってひとまず双子を外に連れ出した。
「助かったー」
「ありがとう翔輝にぃ」
両脇から引っ付いてくる双子。
相変わらずマイペースな奴らだ。
「俺、もう片方の双子連れてくるから、こいつらよろしくな」
「「はーい」」