俺、兄貴になりました
「分かった。いつすんの?」
俺の返事に、親父が驚いたような顔をした。
「いいのか?」
何言ってんだ?この親父は。
「俺だってもうガキじゃない。親父の恋愛にどうこう言ったりしねぇよ」
俺が5歳の時に母親が亡くなって以来、男手ひとつで俺を育ててくれた親父。
俺も成人して2年が経つわけだし、そろそろ親父のやりたいことをやったっていいだろ。
「ありがとな、翔輝」
「別に。で?いつすんの?」
「明日、婚姻届を出そうと思ってる。それでな、今日、今から来るんだよ」
来る?
「誰が?」
「高野さん一家」
はぁあああ!!?
「俺が再婚許すって前提で話進めてたよな、それ!」
「まぁ、翔輝なら分かってくれると思ってたからな」
いつもそうだ。
昔から親父は、俺は何でも許してくれると思ってやがる。
実際そうだから、文句は言えないんだけど。