俺、兄貴になりました
兄弟の団らん
遊園地
俺が長男になってから、約一ヶ月たったある日のこと。
「ねーねー、俺遊園地行きたい」
という慎の一言で、
「じゃあ、行くか」
「「わーい!」」
遊園地に行くことになった。
「恋、蒼、お前ら仕事は大丈夫なのか?」
遊園地に向かう車の中で、全く同じ格好をして座っている、全く同じ顔の双子に問いかけた。
何しろこいつらは超売れっ子アイドルなんだから。
それに一番人気を誇る二人ってんだから、仕事はギュウギュウに詰まってるに違いない。
「あー、大丈夫。ちゃんと休ませてって行ってきたし」
「そーそー。無断休暇とかじゃないから安心してよ」
ならいいんだけどよ。
しかし、双子は次の瞬間驚きの発言をしたんだ。
「「休ませてくれないと辞めてやるって言ってきたから」」
「何言ってんだお前らぁ!!」
それは脅しっていうんだぞ!?
何、社長脅してんだよ!?
そりゃ社長もいうこと聞くしかねぇよ!
「「社長って物分りいいから助かるよな」」
……なんて恐ろしい双子っ。
社長に同情するよ……。
「そーいう翔にぃは大丈夫なわけ?仕事」
助手席に乗っていた翠が俺に問いかける。
「大丈夫。俺はあくまでも専属のスタイリスト&デザイナーだから、休み取れば休める」
親父に言ったら即オッケーだったからな。
こういう時、専属って便利だわ。
車に揺られること約一時間半で、遊園地に着いた。
日本で最も大きな規模を誇る遊園地だ。
チケットを買って早速中に入る。
「うわーい!ジェットコースター乗ろうぜ!」
「待ってー!最初はあんまり怖くないやつからにしてー」
尚と慎と慶は大はしゃぎで、それについていく翠と陽。
「俺らも行こうかー」
「行くかー」
緩い口調でフラフラとその後をついていくのが、サッカー少年の双子。
「じゃ俺らも」
「行くか!」
そう言ってさらにその後をついて行くのがアイドルの双子……って!!
「待て、お前ら!」
慌てて双子の腕を掴んで引き戻す。
「「なんだよ兄貴」」
「なんだじゃねぇよ!お前らあれほど変装してけって言っただろうが!」
なんでしてねぇんだよ!!