俺、兄貴になりました
「好きなもの食べていいの!?」
「俺肉食べるー!!」
尚と慎は相変わらずだな。
それぞれ食べたいものを食べて、遊びは第二弾に突入。
次は何乗るかと話している時。
「あ、ああああなたは!!」
?
不思議に思って振り向いた瞬間、男のスタッフにガシッと両手を掴まれた。
な、なんだ!?
「この遊園地のスタッフの衣装を全て手掛けて下さった、久遠さんですよね!?」
「あー……まぁ、そうですけど…」
そんなキラキラしたような目で見ないで頂きたい。
「なんとお礼したらいいかっ……あなたのおかげで働きたいという者が増え、さらにパレードの衣装を買って行くお客様も多く……ありがとうございます!!」
あ、この人どっかで見たことあるとおもったら、デザインを提供する時、交渉の場にいた副園長の人だ。
「今園長を呼んで参ります!少しの間お待ち下さい!」
「いいです、いいです!プライベートで来てるんで。お構いなく」
相手してたら、こいつらが遊ぶ時間が減るからな。
それでも挨拶くらいさせて下さいというその人をなんとか巻いた。
「翔にぃ、すっげぇんだなー!」
「びっくりしたー!」
右から慶が。
左からは翠が言う。
こらこら君たち、そんなに褒めるんじゃないよ。
「まだ若いのに、何でそんな有名なの?」
おぉ、陽くん、的確な質問だ。
「んー、まぁ親父のとこで働いてたら自然とそうなったってだけのことで。
ガキん時からデザイナーとスタイリストやりたいっつって色々な大会に出てたからな」
高校の時にはもう専属のスカウトが来てたし。